聖書：ルカによる福音書２３：３９－４３
その日、イエス様と共に処刑された二人の犯罪人がいました。一人はイエス様を罵ります。私たちも物事がうまくいかない時に、この人のようにつぶやくことがないでしょうか。心探られます。
ところが、もう一人は違いました。彼は自分の罪を認め、イエスは何も悪いことをしていないと庇います。なぜそれがわかったのでしょうか。この人はイエス様の祈りに、神を見たのです。「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのかわからないのです」。
死の間際、人の本性はさらけ出されます。この人自身十字架刑の壮絶さを今まさに味わっています。だからこそ驚愕したのです。真の神がここにおられると。神への畏れが生じます。
「イエスよ、あなたが御国に行かれる時には、私を思い出してください」。救ってくれなどとはとても言えない。当然の報いを受けているだけです。ただ真の救い主が自分のことを心にとめ、思い出してくださるだけでこの苦しみを耐えられると思ったのでしょう、イエス様に助けを求めたのです。奥田知志師は『「助けて」こそ原初的な信仰告白』と指摘します（「信徒の友」2024年3月号より）。
イエス様に「助けて」と言えた彼に主は宣言されました。
「よく言っておくが、あなたは今日私と一緒に楽園にいる」。
しかし主は今日、死んで葬られ陰府にくだられるのです。ということは、楽園とは場所ではないのです。神が共におられるところ、それが病室だろうと戦場だろうと、楽園であり天国なのです。今ここが、天国なのです。
